ユニーク傑人列伝#3 【ニューハーフSM女王様 西口ゆか】
コラム・ブログ
逞しい腕で鞭を振る彼女こそニューハーフSM女王様西口ゆか。
大阪のSMクラブFetishi-SM(フェティシズム)に所属し、ジェンダーフリーSMオフ会やみなべ・フェティッシュイベントBlackBerryの主宰を務める。
SMクラブの女王様に留まらず、イベントの出演から主宰までこなすなど、多岐にわたって活躍している。
ニューハーフSM女王様という比類ない存在でありながら、さらなる高みを目指している彼女にインタビューを行った。
【プロフィールと略歴】
【プロフィール】
職業:女王様
趣味:SM・イベント
特技:SM・料理
宝物:人
【経歴】
2005年3月:大阪十三SMクラブ入店(ニューハーフ女王様としてデビュー)
2006年3月:やみなべ(ジェンダーフリーSMオフ会)初開催
2011年9月:現SMクラブ(Fetishi-SM(フェティシズム))に入店
2011年10月:やみなべshowparty初開催
2013年12月:タイ遠征開始
2014年10月:BlackBerry初開催
【西口ゆか女王様の素顔に迫る】
–本日はお忙しい中、ありがとうございます。
西口ゆか女王様(以下ゆか女王様):こちらこそありがとうございます。
–まず、SMとは関係ないのですが、特技に料理とありましたが、得意な料理はありますか?
ゆか女王様:料理は好きです。得意な料理は、、、適当になんでも作ります。から揚げばかりに注目されてしまいますが(笑)なんでも作れます。
–イベントでから揚げを食べましたが、美味しかったです。隠し味などはありますか?
ゆか女王様:から揚げは特別に何か入れてるわけではなく、シンプルな材料を使用していますよ。
–シンプルな材料なのにスゴイ美味しいですね。
ゆか女王様:ありがとうございます。
–ニューハーフということで、気になる質問なのですが・・・
ゆか女王様:玉アリ竿アリです。おっぱいも天然ですが、少しあります。
–取られない理由があるのですか?
ゆか女王様:有るものが無くなってしまうことで、精神的に不安定になってしまう可能性があります。女王様であるため精神力を強く保たなければいけません。そのため、仮にも精神的に不安定な状態になってしまったら、この仕事はやっていけないと思います。
【SMへの目覚め、そしてSMクラブ入店のキッカケ】
–SMに目覚めたキッカケを教えていただけますか?
ゆか女王様:SMを始める前、女装さんにメイクをする仕事をBARでしていました。メイクをしていく中で、お客様が感じる姿などを目の当たりし、いつの間にか目覚めていました。
–SMクラブ入店への経緯を教えていただけますか。
ゆか女王様:十三にあったSMクラブVENUSに入店したいとお願いしました。しかし、お店に枠がなかったため、入店できませんでした。
そんな困っている私に、当時同クラブに所属していた結城彩さん(現キネマトス店長)が「ここはどう? 私の友達がやっているから」と紹介してくれたのが私が初めて入店したSMクラブFeeling(フィーリング)です。
この結城彩さんとの出会った日こそ、ニューハーフSM女王様西口ゆかが生まれた日でもある。
【SMクラブ入店後の苦労】
–SMクラブ入店後をお話を聞かせていただけますか。
ゆか女王様:ここRainbow Kitchenの虹乃 れいさんと出会いました。今でもやみなべを手伝って貰うなど仲良くしています。
※今回インタビュー場所としてRainbow Kitchenさんにお邪魔させていただきました。
–SM女王を始めた頃はどういった練習をされていましたか?
ゆか女王様:新人の頃はれいさんと2人でよく緊縛の練習しました。当時のお店には待機所があったため、そこでお互いを縛り合うなど、たくさん練習しました。待機所ですが、ちゃんと吊床あったんですよ。
–Fetishi-SM(フェティシズム)さんのホームページを見ていると女王様と女王は違いがあるそうですが。
ゆか女王様:女王様は基本的になんでもできる1人前になった人のみがなれます。また、女王様になるには、縄テストがあります。これに合格しないと女王様になれません。女王様になるにはいろんなテストがありますが、縄テストが一番難しいと思います。
プレイ中に100%出すのは難しい、だからこそ日ごろから100%出せるようにするそれがFetishi-SM(フェティシズム)の考えです。
【得意なプレイのひとつである鞭の話題に】
–緊縛と同様に、鞭もよく練習されていましたか?
ゆか女王様:いえ、全くしなかったです。初歩的な打ち方など、基本的な部分はFeeling(フィーリング)で習いましたが、それ以外の部分は自己流です。鞭では細かいコントールが必要なのですが、こういったところはやっていくうちに覚えました。
–得意な鞭技はありますか?
ゆか女王様:シューティング(狙い撃ち)・やさしい鞭・キツい鞭・撫でるような鞭、なんでもできますよ。
–鞭の良い打ち方と悪い打ち方を教えていただけますか。
ゆか女王様:人差し指を立てて、スナップを効かせます。効かすことでコントロールが上手くでき、鞭先を上手に当てることができます。
単に握るだけだと強くは打てますが、上手にコントロールできなくなります。強く打とうとするだけなら、スナップを効かすことで、より早く強く打てるようになります。
しかし、人差し指を立てる打ち方のほうが自由度が高く、その人に合わせた鞭が打てます。SM女王様という職業柄、ヘタな鞭をお客様に打てないため、この打ち方にしています。
【ご自慢の鞭コレクションを披露】
ゆか女王様:鞭を見ますか? 並べますか?
–え? いいですか? よろしくお願いします。
ゆか女王様:今日持ってきたのは一般的なバラ鞭、編みこみのバラ鞭、編みこみのロングのバラ鞭、ショートの一本鞭、一番重い鬼丸堂さんの一本鞭、桃太郎さんの馬革の一本鞭、かいじゅうのしっぽさんの鞭などを持ってきています。
–この縄跳びみたいな鞭はイベントでもありましたね。
ゆか女王様:これはかいじゅうのしっぽさんの鞭で、新作になります。以前よりも鞭質が硬くなったので、しなりがなくりました。それでいて重量は軽くなっています。
–プレイでもこの鞭を使用されますか?
ゆか女王様:プレイでも使用したことがありますが、あくまでこの鞭はショー用です。この鞭は痛いと評判ですよ(笑)
–こちらの鞭を含め、かいじゅうのしっぽさんの鞭をショーでよく拝見しますが。
ゆか女王様:かいじゅうのしっぽさんは今、私が使う鞭のメインスポンサーになります。鞭を提供して頂く代わりにイベントやショー各SNS等でガンガンアピールしますし、私が使う鞭=丈夫でしょう(笑)
かいじゅうのしっぽさんや他にもお世話になってる鞭屋さんも沢山有るので鞭をもっともっとアピールします!
【プレイにおける鞭】
–プレイにおいて良い鞭と悪い鞭の違いを教えていただけますか。
ゆか女王様:悪い鞭は相手をよく見ないこと。SMは相手との対話です。そのため、相手の雰囲気を全部読まなければいけません。読める力がない人は、鞭を打たない方がいいです。相手の雰囲気を読まず、一方的に打つ鞭はただの暴力になってしまいます。
相手の雰囲気を読み、徐々に気持ちを高めであげることで、痛みが気にならない状態にできます。
また、同じ場所ばかりを打たず、打つ場所を散らしていくことで、痛みが気にならないようにできます。
–鞭をたくさん持ち歩かれていますが、これも何か理由があるのですか?
ゆか女王様: 鞭は1から10までのレベル(痛み)に分けることができます。鞭によって1~3のレベルものや4~10と幅広いレベルが出せるものがあります
この違いは鞭の材質の違いによるものです。鞭質が硬いものはゆっくり打っても痛くなってしまう。もしくは、ゆっくり打つと鞭がしならないので、ちゃんと打てなくなります。また、鞭質が柔らかいものは強く打とうと思っても、軽いため強く打てません。
痛みをコントロールするためにも、一般の方で一本鞭を楽しむ際は、ソフトな鞭とハードな鞭2種類あった方が楽しめると思います。
【お店でのプレイについて】
–今までお相手されてお客様で、印象的だった方はいらっしゃいますか?
ゆか女王様: お腹だけを圧迫してというお客様。お腹を叩く、お腹に据わり圧迫刺激するなど、とにかくお腹だけを責めさせるお客様でした。
今まで足をひたすら舐めたいといったお客様などはよくいましたが、お腹だけ責めて欲しいというお客様は珍しかったです。
–腹筋が凄くてそこを責めて欲しいということですか?
ゆか女王様:いえ、腹筋はほとんど付いておらず、普通のおっちゃんでした(笑)
–お腹は骨がない人間の体の中でも一番弱い部分なのにスゴイですね(笑)
ゆか女王様:そうですね(笑) ひらすたらお腹ばかりでした(笑)
【やみなべ開催のキッカケについて】
–ゆかさんが主宰されいてるイベントやみなべ。こちらを開催されたキッカケはありますか?
ゆか女王様:やみなべを始める前、プレイするお客様に話を聞くと「SMバーに行ったら、痛いことをされた。キツいことをされた。もう鞭はイヤ、SMはキツい」という話をよく耳にしました。
当時、一部のSMバーはその場限りの盛り上がりを重要視するため、鞭をとくにかくバンバン打ったり、派手なプレイをしがちでした。また、技術がない人たちも一部おり、その一部の人たちがプレイもどきをしていました。この表面的なSM、それによって嫌な思いをする人たちがたくさんいました。
こういった嫌な思いをした人たちのためにも「縄は痛くないよ、鞭もホントは痛くないよ。SMは怖くないよ」とSMに対する誤解を解くためにやみなべの開催を始めました。
–ショーを見ているとなかなか強烈に見えますが、ショーでは強めにしているのですか?
ゆか女王様:いえ、私たちSM女王様は基本無理をさせません。プレイにおいても、ショーにおいてもです。
ショーは一見激しく見えますがが、その人のレベルに合った内容にしています。激しい鞭ができる人には強めの鞭、激しい鞭ができない人にはギリギリのラインを見極めて鞭を打っています。このギリギリを見極めることで、ショーが成り立っています。
また、激しいのが大丈夫な人、無理な人、いろんな人が出ることでショーが盛り上がります。
–やみなべやBlackBerryでもいろいろな方が出演されていますね。
ゆか女王様:ショーに出演しているのは志願していただいた人たちです。みなさんショーを終えるとみなスポーツのような達成感に満ちた表情をされています。
–ジェンダーフリーSMオフ会と銘打っているやみなべですが、どのような特徴がありますか?
ゆか女王様:やみなべは、SM好きなジェンダーフリー(女装・NH・純女・純男・おなべ・レズ・ホモ・etc)の皆さんが性別の壁を越えて楽しむ大人の集いです。また、演者とお客様の垣根がない、みんな一緒に楽しめるイベントを目指しています。そして、お客様がメインのイベントであります。そのため、お客様には積極的にステージに上がって欲しいです。
やみなべの協賛店は協賛金等は頂いていません。協賛は協賛店さんからショーに出て頂くことになっています。やみなべ始め各協賛店選抜の人はチケット代は掛かりますがその分、唐揚げやアルコールも全てフリーでしています。
協賛店の方々には本当にお世話になっています。感謝しています。
–ステージに上がられた方とお話しましたが、そちらの方ももともとお客様と聞きました。
ゆか女王様:出たいと言ってくれた方はショーに出します。演者とお客様との差をなくしたいと思っています。
古い考えを持った方の中には「ショーに出ているから偉い。演者なんだプロなんだ」という方もいました。しかし、そうではなく、誰でもショーに出してあげたいと思いました。そのため、なんでもOK、誰でもOKです。打ち合わせなく、ポンとステージに上げることもあります。
—確かに我々が伺ったイベントでも「ショーに出たい人!」 とその場で出演者を募っていましたね。
【BlackBerryについて】
–やみなべに対し、BlackBerryはどういった特徴がありますか?
ゆか女王様:BlackBerryはプロのショー。やみなべに来ているお客様がこちらに出たいと思って貰える、憧れをいただいて貰えるようなショー、イベントを目指しています。
こちらは飲食にお金がかかりますが、その分多くの演者へ出演料を支払っています。
–過去のやみなべやブラックベリーで印象的だった出来事や大変だった出来事はありますか?
ゆか女王様:ん~ないです(笑)毎回ベストを尽くしているので。大雨が降るなどしてお客様が少ないときは大変でしたね。
最近では協賛店も増え、大変なことはそんなに。。。 挙げるとすればイベント前のから揚げ作り! あとは抽選会のクジ作るのが大変! イベント前の準備がしんどいですね。
【活動は国内に留まらず海外まで】
–2013年の12月頃からタイへ遠征をされていると伺いましたが、どういった経緯で決まったのですか?
ゆか女王様:海外遠征を決意した際、もともと旅行で行き慣れていたタイに決めました。タイのSMクラブをインターネットを調べ、手当たり次第メールしました。私のホームページを貼り付けて、ショーやプレイをしたいと日本語で(笑)
ガンガンメールをしていたら、先方が日本語を通訳できる人を用意してくれたので、その人を通じて連絡を取り合いました。タイに行っても日本語でしか喋りません(笑)
–タイ遠征でのご苦労などはありましたか?
ゆか女王様:適当な所が大変です(笑)いつ行くかを約束するだけでもなかなか決まりません。オーナーはタイ人がやってはいけないので、ほとんどがヨーロッパ系の人です。オーストリア人やフランス人。
–タイではタイ人の方が女王様をしていますか? また、タイではニューハーフの方が多いですが、女王様をされている方はいますか?
ゆか女王様:はい、タイ人がSM女王をやってますが、技術はまだまだです。ニューハーフの女王は見たことがないです。
–タイにもSMクラブは多く存在しますか?
ゆか女王様:タイのSMクラブは3件だけだと思います。みんなお店の規模がめちゃめちゃ大きいです。
–ゲイ向けのSMクラブもあると聞きましたが。
ゆか女王様:ゲイ向けのSMクラブは先ほどの3件のうちの一つの、キャッスルの裏にあります。場所はパタヤですよ。
–日本のSMクラブとの違いはありますか?
ゆか女王様:日本と法律が異なるため、BARとプレイする場所が一緒になっています。飲んだ後、じゃあプレイしようという流れで、すぐにプレイルームへ移動できます。
–タイでは主にどういった活動をされていますか?
ゆか女王様:タイでは遠征先のSMクラブでイベントやショーに出演しています。タイのSMクラブでは、お客様が来るたびに小規模なショーをするんですよ! お客様を縛ったり、ローソクを垂らしたり、鞭を叩いたりします。日本のように何時からやるといったものではなく、お客様が来るたびにショーをします。
タイは日本と違いチップ社会であるため、ショーが終わるたびにチップを貰います。でも、日本人の私にとっては心苦しいところがあります(笑)日本はショーやイベントはチケット制ですからね。
–お店にタイ人の方はいらっしゃるのですか?
ゆか女王様:いえ、タイ人はほとんど来なくて、お客様は駐在している日本人や中国人です。あとは観光客など、少し裕福な層ですね。日本人にとってはそれほど高くはない入店料ですが、タイ人の方が入るには厳しい価格だと思います。
ゴーゴーバーで外国人のお客様が多いようにSMクラブも同じなんだと思います。
【最後に】
–同じ業界の方で尊敬している方はいらっしゃいますか?
ゆか女王様:尊敬というか親と思っている人が2人います。1人は今の私を生み出してくれたキネマトスの店長結城彩さん。もう1人はSMを1から全て教えてくれたFeeling(フィーリング)のオーナーさん、私の育ての親です。
また、ここRainbow Kitchenのれいさんともとてもいい仲です。友達であり、お互い支えあっています。私もRainbow Kitchenで働くこともあり、から揚げを売ることもあります。れいさんにはぼろ雑巾のように扱われています(笑)
今働かせてもらっているFetishi-SM(フェティシズム)のオーナーも尊敬しています。
–ゆかさんにとってSMはなんですか。
ゆか女王様:普通。プレイも普通にするし、鞭も打つし、いたって普通なもの。私が自然にいられる場所。
–今後の展望を聞かせていただけますか。
ゆか女王様:東京でイベントをします! また、いい物件があったら、お店を持ちそこで月2回ほどのペースでイベントを行っていきたいです。
–お店に来てくれる方に一言おねがいします。
ゆか女王様:私がいいと思ったら来てください♥
–イベントに来られる方に一言お願いします。
ゆか女王様:全力を尽くします!
–本日はお忙しい中、ありがとうございました。
ゆか女王様:こちらこそありがとうございました。
西口ゆか女王様ホームページ:https://mistressyuka.x.fc2.com/
西口ゆか女王様twitter:https://twitter.com/SmYuka
Fetishi-SM(フェティシズム)さんホームページ:https://fetishi-sm.com/
【取材後記】
彼女を観察してよく目にする光景が、他人への気配りである。イベント中、お客様・演者・協賛店全ての方へ配慮する姿や声を掛けている姿。この姿を目にしないときはない。彼女にそれを聞くと「そんなの当たり前、普通」と答える。確かにイベントの主宰であり、SM女王様という職業柄“普通”といえるのかもしれない。しかし、彼女との会話の中で気になった瞬間がある。
当サイトの運営会社である大人のおもちゃ通販大魔王が快楽工房レジーナさんの商品を取り扱っているのを見たようで「イベント通じて繋がったんですか?」と満面の笑みで尋ねてきた。そうではないことを伝えると彼女は少し残念そうにも見える表情を見せた。
また、違う場面ではRainbow Kitchenさんの向かいに店を構えるOriental Bondage Bar 黄金の莉華さんを連れて来るなり、彼女を紹介してくれた。他にも我々をいろいろな方と繋げようとする発言をインタビュー中に何度もした。
彼女のプロフィールを見ると“宝物は人”と記している。人間は取り繕うもので、自分を良く魅せるためにこういったこと記す場合がある。しかし、彼女と話していくうちに記した言葉が本心からくるものであると感じさせられた。人と人との繋がりを大切にし、他人への気配りや思いやりを欠かさない彼女の姿にSM女王様西口ゆかではなく、人間西口ゆかを垣間見ることができた。
真っ直ぐに生き、常に前へと進む彼女を追い続けたい。
【取材協力店】
店名:Rainbow Kitchen
住所:大阪府大阪市中央区難波4-7-9南進会館B1
ホームページ:https://rainbow2016.crayonsite.net/
【ものしり.comでは取材にご協力いただける方を募集しています!】
アダルトやフェティッシュにお詳しい方。
取材料はいただいていませんので、お気軽にお問い合わせください。
お申し込みはコチラよりお願いいたします。
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